赤い狼と黒い兎
ぎゅっと瑠衣のカラダを抱き締めれば、瑠宇が横からあたしを抱き締めた。
「ハハッ……」
その小さな笑い声に、瑠宇がピクリと反応した。
「アッハハハハハハッ!?」
「てめぇ……」
「いい兄妹愛だなぁ!!イイモン見せてもらったよ!てめぇらの絶望に沈む顔…!たまんねぇなぁ」
ニヤニヤと、気持ち悪く笑う。
プツン
とその時何かが、切れる音がした。
瑠衣をそっと地面に寝かせ、手を組ませる。
よろけながら立ち上がり、未だに笑っている嶽の目の前に立った。
「ハハハッ…。どーしたよ馨サン?」
『……』
「あれェ、もう泣かないのかい?ふはははっ!!」
『もう……』
取り返しがつかないところまで、来てしまったね…。
アンタなんか、もう……。