赤い狼と黒い兎
「ああ?何だと?」
キッ、と嶽を睨み拳を握り締めた。
『てめぇはもう…朱雀の一員でも何でもねぇ!』
そう言って嶽に殴りかかった。
…話ならいくらでも出来たんだよ。
『てめぇは朱雀に必要ねぇ!ぶっ殺してやる…!!』
話せば済む話だったのか、それはあたしには分からない。
ただ、あたしが言えるのは、
「馨!!」
「やめろ馨!」
瑠衣は、悪くないってことだけ。
バキッ ボキッ!
「馨!それ以上やるな!!」
確かに瑠衣は口下手で、ちょっと分かりにくいところもあるけど。
「かおっ―――」
ガンッ…
『人一倍…仲間を大切にする奴だったんだよ……ッ』
最後の一発は、嶽に当たることなく。
地面に、打ち込まれた。