赤い狼と黒い兎


「ああ?何だと?」



キッ、と嶽を睨み拳を握り締めた。



『てめぇはもう…朱雀の一員でも何でもねぇ!』



そう言って嶽に殴りかかった。

…話ならいくらでも出来たんだよ。



『てめぇは朱雀に必要ねぇ!ぶっ殺してやる…!!』



話せば済む話だったのか、それはあたしには分からない。

ただ、あたしが言えるのは、



「馨!!」

「やめろ馨!」



瑠衣は、悪くないってことだけ。



バキッ ボキッ!

「馨!それ以上やるな!!」



確かに瑠衣は口下手で、ちょっと分かりにくいところもあるけど。



「かおっ―――」

ガンッ…


『人一倍…仲間を大切にする奴だったんだよ……ッ』



最後の一発は、嶽に当たることなく。

地面に、打ち込まれた。


< 166 / 286 >

この作品をシェア

pagetop