赤い狼と黒い兎
龍希くんや唯兎くんはぽかーんとし、朔弥くんはクスクスと笑っていた。
「向日葵の禁句ワード、普通に言ったね」
『ああ、禁句ワードだったの?なんかごめんなさいねぇ。あたし、思った事はっきり言うタイプだから』
そう言って、未だに睨んでくる女共を睨んだ。
それだけで怯えて、視線を逸らした。
「…馨ってナニモンだ?」
『女子高生』
「…ただの?」
『ただの。』
「ふぅん……」
『てか、追い掛けなくていいわけ?』
欠伸をこぼしながらそう言った。
「馨も行こうぜ」
『は?嫌だよ。関係ないし、あたし』
「いやいや!今のは馨が悪――」
『あたし、関係、ないし?』
「そ、そっすよね…!」
半睨みして、龍希くんにそう言った。
したら冷や汗かきながら、右手を後頭部の後ろにやり笑った。
「あれ、馨が悪いじゃん」
『関係、ない。』
「だ、だよね…!」
加奈子?何同情してんの?あたし、悪くないでしょ?
そう言った意味を込めた視線を送った。
「「(眼力ハンパねぇ…!!)」」
「…まあ、とりあえず、ひま探しに行くか」
「たぶん、屋上だと思うよ」
「だろうな。おい、龍希。行くぞ?」
「おっ、オウ!」
パタパタと去っていくやつらを見送り、ほどなくしてからあたしも立ち上がった。
「馨?どこ行くの?」
『…亜稀羅んとこ』
「……ああ、そう」