赤い狼と黒い兎


「で?どんな状況よ」

『…関係ねぇだろ』

「ない、のかねぇ俺」

『……』



瑠宇をちらりと見れば少し、悲しそうに笑っていた。



『……いいんだよ、瑠宇は出張らなくて』

「…なんで?」

『ダメ、だから』

「……」

『瑠衣も居なくなって、瑠宇も居なくなるのは、嫌だから』



本心を言えば、もう誰も出張らなくていい。

あたしだけでアイツに立ち向かえばいい。

それだけでいい。…のにみんな一緒に来てしまう。



「馨…」

『嶽のことは、あたしが何とかするから。今回のこともあたしが原因だし、瑠宇は…瑠宇と亜稀羅にだけは来て欲しくない』



こんなのあたしのエゴでしかないけど、でもみんなは死なせられない。



< 171 / 286 >

この作品をシェア

pagetop