赤い狼と黒い兎
「で?どんな状況よ」
『…関係ねぇだろ』
「ない、のかねぇ俺」
『……』
瑠宇をちらりと見れば少し、悲しそうに笑っていた。
『……いいんだよ、瑠宇は出張らなくて』
「…なんで?」
『ダメ、だから』
「……」
『瑠衣も居なくなって、瑠宇も居なくなるのは、嫌だから』
本心を言えば、もう誰も出張らなくていい。
あたしだけでアイツに立ち向かえばいい。
それだけでいい。…のにみんな一緒に来てしまう。
「馨…」
『嶽のことは、あたしが何とかするから。今回のこともあたしが原因だし、瑠宇は…瑠宇と亜稀羅にだけは来て欲しくない』
こんなのあたしのエゴでしかないけど、でもみんなは死なせられない。