赤い狼と黒い兎


殴りかかりそうな勢いで、ケンカを売る奴等。

…相変わらず、というかなんというか。



「んだとこのアマ!」

「女ナメてんじゃねーぞ、このボケ共!!」

「ケンカ売ってんのか、ああ!?」

「いつでも相手してやるよ!掛かってきなッ!」

「上等じゃねーかッ!」



本当に殴りあいそうになったから、あたしは手をパンパンと叩いた。

それに動きを止める奴等。



『…掛かってきな、だと?』

「や…あの……」

『無意味なケンカはするなって言ったハズだけど?』

「た、ただのじゃれあいっすよ…!」

『へぇ…?じゃれあい?』

「そっ、そう!だ、だから本気じゃナイッスよ!?」



冷や汗をかいて、目を泳がせる。



『…春架?』

「は、はい!」

『…麻友美』

「う、うっす…!」

『深子、磨子』

「「お、おっす…!!」」

『琉樹』

「おう…」



5人は各々の返事をし、1列に整列した。



『……お前ら、ケンカならあたしが買ってやるよ?そんなに欲求不満なら、ね…?』

「「「「「滅相もないッス…!!」」」」」



5人とも顔を真っ青にさせ、滝のように汗を流す。



『ならやるんじゃねぇよ』

「「「「「すいませんっした…!!」」」」」

「さすが馨。やっぱ頼りになるよ」

『…面倒事押し付けられただけじゃん』



朱雀はぽかーんとし(向日葵以外)、WolfMoonはびくびくとしていた。



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