赤い狼と黒い兎
「馨?」
『何』
「いや、何ってこっちのセリフ」
極限に嫌そうな顔をすれば、龍希はそれ以上突っ込まなくなった。
「馨、トランプやろ!」
「あっ、ひまわりずりぃ!」
ひまに手を引かれてソファーに座る。
その一連の動作を唯兎が見ていたなんてあたしは知らなかった。
「何やる?」
「ババ抜き?」
「お前それしかねーじゃん」
「え〜…だって神経衰弱とか、神経疲れるだろ」
…神経衰弱で神経疲れるって何、亜稀羅。
「ハイハイ、じゃーババ抜きだ」
「馨もだからね?」
『ん、わかってるよ』
でもやりながら寝ちゃうかもだけどね。
「亜稀羅、イカサマなしだぜ」
「俺がいつイカサマした」
「毎回だッ、バカ!」