赤い狼と黒い兎
「してないしてない」
「嘘つけこの詐欺師ッ!」
嵐の前の静けさ、っていうのはこういう事を意味するんだろうか。
学校に蛇烙が来て、早4日。
4日前にグラウンドで乱闘があったなんて不思議なくらいだ。
「馨ー?おーい?」
「馨、最近ぼーっとしてるね」
『……気持ち悪』
そう小さく呟いてソファーに横になった。
トランプは投げ出しましたよ。
なんかもう、頭がそれどころじゃない。
嶽が出る前は普通に過ごしてたのに。
いつも張り詰める緊張感と不安で押し潰されそうだ。
…それに、寝れないし。気持ち悪いし…。
って言っても吐くほどの気持ち悪いって意味でもないけど。
「大丈夫?馨」
「どした〜?」