赤い狼と黒い兎
あー…さっきよりちょっとマシになった。
でも指先とか爪先、冷たい…。死んでるみたいじゃんあたし。
「なんか持って来ようか?」
「いや、たぶんもう大丈夫だろ」
少しだけ顔を上げて、亜稀羅とひまを見た。
今の状態は唯兎に凭れてる感じだからね。
『…ごめんね…も、大丈夫だから…』
口元に笑みを浮かべて、ひまの頬に触れた。
なんでか、ひまは目を見開いてあたしの手を掴んだ。
「馨…手、冷た…」
顔を歪めてそう言ったひま。
右手を唯兎に捕まれ、両手から2人の体温が伝わってきた。
「…馨、ちょっと寝た方がいいんじゃねぇ?」
『ん……』
「馨、ほんと大丈夫…?」