赤い狼と黒い兎
ただ笑うしか出来ない無力な自分。
心配かけてるのに、なぁ…。つくづくバカだと思う。
『寝たら…元に戻る…から……ね…?』
亜稀羅の頭を撫でると、いきなり浮遊感に包まれた。
「唯兎…」
「部屋で寝かしてくる。お前らあんま騒ぐなよ」
「…うん」
どうやらあたしは唯兎にお姫様抱っこ、というやつをされてるみたいだ。
シングルベッドが置いてある部屋、黒基調で明るさはあまり感じられない。
「大丈夫か?」
『ん…さっきより…』
「そか」
部屋が真っ暗で、あんまり見えないけど唯兎がそこに居るのだけはわかる。
『ごめん、ね…心配…掛けて……』
「辛かったら言えよ…」
『ん…』