赤い狼と黒い兎
誰にお披露目すんの?
頭上に1人ハテナを飛ばしてるあたしを置いて、3人は立ち上がった。
「お嬢さん」
『…?』
にっこりと笑って手を差し伸べる唯兎。
「お手をどうぞ」
『……』
紳士的に振る舞う唯兎に、少しどきりとしたのは内緒の話。
戸惑いながら手を乗せると、ぎゅっと力強く、でも優しく手を握った。
「遅めの披露、だな」
「唯兎のせいだ」
「俺っ?何でだよ」
「無計画」
「……なんの事かな、向日葵くん」
「現実逃避したぜ、こいつ」
3人のやりとりを見ながら、1人クスクスと笑っていた。