赤い狼と黒い兎


亜稀羅は腹を抱えて笑い、朱雀はじゃれあっていた。

…そういえば、亜稀羅って朱雀に入ってるんだっけ。



『……。(くだらね…)』



そう思い、踵を返せば向日葵があたしを睨むようにして見ていた。

あたしはそんな向日葵に向かって笑いかけた。



『何してんの?向日葵ちゃん』

「…?」



向日葵は殺気を出し、睨みをきつくさせた。

おー、怖い怖い。

…とか、冗談でも思ってないけどね。



「かおちゃん?」

「かおちゃんが男に話し掛けるなんて珍し〜」

「「って、男じゃないか!!」」



そういってクスクスと笑うmoonメンバー。

あたしは首だけを後ろに向け、にこりと笑った。



『深子、磨子』

「「え?」」



春架、麻友美、琉樹は目に手を当て見ないでいた。

何でだ、お前ら。



『黙ってろ』

「「スイマセン…」」



2人は他の3人がやっているようにした。

…ったく、黙ってりゃかわいいのに。



『で、君はずっとそこにいるつもりなの?』

「…お前に関係ねぇだろ」



春架が口を開けたとき、あたしはそれを手で制した。

何も言うな、と。



『まっ、それもそうか。…向日葵なんて名前負けしてるね、ひまちゃん』



嫌味をたっぷり込めて笑った。

向日葵は眉間にシワをつくり、表情を歪めていた。



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