赤い狼と黒い兎
「昔よりいい女になりましたね」
今度は下心丸出しでニヤニヤと見つめてきた。
…気色悪い。
「……つまらないですね。一言も喋らないなんて」
『………』
無言を貫き通し、キッとそいつを睨んだ。
「あなたに睨まれるとゾクゾクしますね…」
……キモッ!え、何こいつM?
ナイナイ、マジ顔面崩壊させてやりたいわ。
…つーか、徐々に手ぇ近付けて来んな!
「オイ」
眼鏡男の手があたしに触れる前に、低い声が男を止めた。
「それは俺ンだ」
「嶽さん…」