赤い狼と黒い兎


ドアに背を預け、タバコを吹かしている奴。

こっちに顔を向けるとその男を睨んだ。



「触んな」

「…すいません」



そう言って眼鏡男は素早く立ち上がり、そそくさと部屋を出てった。



「……」

『……』



カツカツと靴の底を鳴らしてあたしの目前まで来ると、しゃがんだ。



「よぉ、馨サン。ご気分はいかが?」



ニヤリと口の端を吊り上げ、笑う。

どこまでもやり方が汚いのな…。



「怖くて声も出ませんって?そりゃ光栄だなあ」



何も言ってませんが。

勝手に解釈するのやめてください。



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