赤い狼と黒い兎
行く準備は万端。
みんなの覚悟も決まってる。
「このドア、蹴り破るぞ!!!」
あとは、我らがリーダー馨を助け出すだけ。
「いいか、てめぇら!!守り守られろ!てめぇ1人で戦おうとするな!!」
あたしら幹部チームが、ドアをガンッ!!と一発蹴った。
頑丈なのは承知済み。
「唯兎」
「おーよ。…おい、やんぞ」
いつもヘラヘラしてて威厳が無さそうな唯兎。
でも今日だけは、総長の顔。
何人かの男が立て一列に並び、ストレスを発散するかのようにドアを蹴り出した。
「うは、うるせー…」
あたしの呟きですら掻き消される程の爆音。