赤い狼と黒い兎
−朱雀side−
「なあ、朔弥、」
「言わなくてもわかってるよ」
そう言って朔弥は手に持っていたノートパソコンを開いた。
「マジ、あいつ何者だぁ?」
「それを調べるために朔弥がパソコン開いたんだろ」
「……あいつ、ムカつく」
「まぁまぁ、落ち着けって向日葵」
唯兎は苦笑いを溢し、向日葵に言った。
「あの殺気…どっかで……。」
「なんか言ったか?郁」
「いや、別に…」
郁は何かを考えるようにして、顎に手を置いた。
「しっかし、あいつの眼は……」
唯兎がそう呟くと、龍希が便乗するように言った。
「そうだよ!馨の眼ぇすげくねぇ?やっぱカラコン入れてんのかなぁ…」
「……いや、あれは元からだろ」
「エッ?…まさか。日本人からあんな目は産まれねぇだろぉ」
すると唯兎は、少し離れたところで1人ゲームをしている亜稀羅に目を向けた。
「おめぇ、よく考えてみろよ。亜稀羅だっておんなじ眼ぇしてんだぜ?」
「…たしかに。」
「左右色がちげぇけどな」
「……お前、観察力はんぱねぇな」
「おめぇが無さすぎんだよ、バカ」
「なんだとッ!?」
勢いよく立ち上がろうとした龍希だが、何かに気付いて腰を降ろした。
「……殺気?」
「朔弥……」
唯兎が苦笑い気味に言うと、龍希は首を傾げながら後ろを振り向いた。