赤い狼と黒い兎
そう小さく加奈子ちゃん呟いた。
「あの子、復讐なんてしないって言ってたけど、たぶん腸煮えくり返ってたと思うわよ」
「……」
「瑠衣が馨を大好きだったように、馨も瑠衣が大好きだったのよ。」
「…そうだな。なんだかんだ言っても、一番は瑠衣だったからな」
しんみりとする場に、瑠宇さんが口を開いた。
「瑠衣が死んでからだよ、馨が笑わなくなったのは…」
…言われてみれば、そうかもしれない。
馨の笑った顔って言えば、見下したように笑ったりそんな感じ。
「…悪いのは誰でもない。」