赤い狼と黒い兎


加奈子の言葉に従い、ぞろぞろと帰って行く。

春架たちはなんだか、あたしに復活してほしくないみたいだ。

よし、早く良くなろう。



「ひま…」

「向日葵サン…」

「俺はまだ馨と〜っ!!」



首根っこを捕まれて、引き摺られるひまがかなり気の毒に思えた。

か、かわいそう…



『ひま、また今度、ね?』

「!……ん」

『今度、たくさん話そう?約束』



ん、と小指を出せば同じように小指を出して絡ませる。



『ゆびきり。』

「ん、絶対ね、馨」

『うん』



向日葵は満面の笑みで手を振って病室を出て行く。



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