赤い狼と黒い兎
病室に、唯兎と2人きり。
しかも無言。
「なんか…賑やかだな」
『んー…うるさいの間違いだよ、そこ』
確かに賑やかだけど、それが過ぎるとうるさい以外の何者でもない。
「そっか。そういう割りに嬉しそうだけどな」
『へ?』
「ほんとは嬉しいんだろ?」
『な、なんで…?』
「顔が綻んでるから」
ゆるゆると頬を撫でられ、どきっと心臓が波打つ。
…ふとした唯兎の仕草に、ドキドキする。
どうして、とか別に思わないけど瑠衣が言ってたのはやっぱり……。
「俺さ、馨が起きたら言おうと思ってた事あるんだ」