赤い狼と黒い兎
『……』
「姉ちゃん?どうしたの?」
可愛らしく首を傾げて、兄貴を宥めながらあたしに問い掛ける。
……かわいいな、我が弟よ…。
『…瑠宇が、学校行けって』
「…ああ。兄貴、言葉足んねぇもんな」
にこっ、と笑いあたしを見る亜稀羅。
…弟なのにドキッとしてしまうよ、やばい。
『…どーゆーこと?』
「馨、いっつも家に閉じ籠ってばっかだろ?たまには気晴らしに学校行ったらどうだ、って兄貴が」
ぶんぶんと首を縦に振る兄貴。
その姿がいかに滑稽か、兄貴はわかってるんだろうか…。
兄貴を宥める亜稀羅。
亜稀羅に抱き付く兄貴。
…はっ、笑える。
『へぇ…。却下』
「何で!」
『学校とか行ってもつまんねぇ。退屈凌ぎにすらなんねぇよ。だから却下』
「馨〜…」
最後の手段だ、と言わんばかりに兄貴と亜稀羅は頷き合い、亜稀羅はあたしのベッドに近寄って来た。
「ねぇ、馨」
『………何』
十分に溜め込んでから、返事をした。
だってあたし亜稀羅には弱いからね!
「一緒に学校行こうよ?」
『………。』
「俺と同じ学校だよ?moonのメンバーだって、そこに居るよ?」
『!』
moonという単語を聞いて目を見開いた。