赤い狼と黒い兎
そのあと、家に帰ってから亜稀羅に小言を吐かれた。
「馨は乗せてくれるなら誰でもいんだぁ〜」とか「俺はただのタクシーかー」とかとか…。
いやね?あなたがあたしにバイク乗るなと言ったのよ?
それで「じゃあ自分のバイク乗ってくよ」って言えば「は?ダメだよ」なんて言うし……。
いろいろ矛盾してるよ…亜稀羅…。
「ただいま〜…って、何?まだ飯作ってねぇの?」
「「あ。」」
兄貴が帰って来て早々そう言って思い出した。
カンペキ忘れてたよ…。
「…あそう。まぁ、いいんだけどな?」
「今からなんか頼む?」
「いや、弁当あるよ」
「は?なぜ??」
「仕事の残りモン」
「うわ、そんなもん食わせるのか。俺らは残飯係りか?」
そんな中、あたしは腹ペコで兄貴の片手にある袋をじーっと見ていた。
……無意識で。
「…でも、あそこに食えりゃ何でもいいって顔してる奴が1人いるぞ?」
「!」
兄貴はあたしを苦笑いして見ていて、亜稀羅はその言葉に振り向く。
…ん?あたしか??
「はぁ…。ま、いっか。食えるだけ」
「そーだそーだ。一応有り難く思え?」
「へーへー」
兄貴は、袋をテーブルの上に置き弁当を3つ取り出した。
「馨、どれがいい?」
『…亜稀羅は?』
「先選びな」