赤い狼と黒い兎
2人はにっこりと微笑み、あたしを見つめた。
…なぜそんなにも穏やかなの…。
『じゃあ……これ』
「ん、どうぞ。亜稀羅は?」
「俺はこれ」
3人とも決まり、割り箸を割り「いただきます」と言った。
「久々弁当だな」
「あ、確かに」
『…瑠宇のそれ、美味しそう』
「食うか?」
他の家族の団らんと、うちの団らんは少し違うけれど。
『……食べたい』
「かっわいいなぁ……。ん、口開けてみ?」
あたしの家族団らんはこれだから。
みんな揃って…ご飯が食べられたら、何も望まない。
「美味しい?」
『…ん』
「兄貴、鼻の下伸びてるよ」
「だってよ亜稀羅〜?」
「はぁ…」
亜稀羅がいて、瑠宇がいて、春架たちがいて、moonのみんながいてくれたらあたしはそれだけでもう満足。
「馨?…どうした?」
『!……別に』
無意識にぼーっとしていたのか、瑠宇に心配気な顔をされた。
「そうか?」
「兄貴、明日は?」
「ん?…あー、朝イチだから」
「?、珍しいな」
「そうなんだよなぁ〜…。ぜってー起きれねぇ…」
「安心しろ、俺が叩き起こすから」
「…いや、いろんな意味で遠慮しとくわ」
ご飯も食べ終わり、各々違うことをした。