赤い狼と黒い兎


そして朝。あたしが起きたのは10時35分。

はい、カンペキ遅刻ですね。

ケータイを開いて見ると、10件くらい着信が来てました。

しかも5件が春架、そのうち1件つづ深子、磨子、麻友美、琉樹、そしてまた春架。

…嫌がらせ?



「馨〜?あ、やっと起きた?」

『…学校は?』

「え?俺が真面目に行くと思う?」



…そんな真顔で言わなくても…。

てゆーか真面目に行けよ、って人のこと言えないか。



「一応待ってたんだよ?起きるの」

『…あー、ごめん』

「うん、別にいいんだけど!」



どっちだよ。

あたしは欠伸を溢し、着替えるため亜稀羅をリビングにやった。

…今日は自棄にまぶしいなぁ〜……。

ブレザー重いから、パーカー着てこうかな…。

ブレザーの代わりに黒いパーカーを羽織った。

その中には栗色のカーディガン着てるけどね?

冷え性なもので、暖かくしておけと…。

着替えも終わり、リビングに行くと亜稀羅がソファーに寝転がって煙草を吸っていてテレビを見ていた。

……かなりくつろいでますね、この人。

どっかのオッサンですか、あんた。



「あ、来た来た」

『…お待たせ』

「ん。…今日はパーカーなの?」

『…日差しが強いからね』

「なるほど」



煙草を灰皿に押し付け、バイクの鍵を持って立ち上がった。



「じゃ、行きますか」

『ん』



あたしはメットを持って家を出た。



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