赤い狼と黒い兎
「電話出ないから心配したんだよー!?」
「何もなかったからよかったけど〜」
ぎゅーっと抱き付いて、スリ寄って来る双子。
…かわいいから、許せるんだよなぁ…。
双子のこれにあたしは弱い。
…いやたぶん、かわいい人がやれば誰でも許せる気がする。
かわいいに限るけど。
「…ねぇリーダー?」
『ん?』
「本当に、今日ここで桜庭郁と話すの?」
瞳を不安気に揺らし、眉を垂れ下げる深子。
その仕草は磨子も一緒だった。
『うん』
「…どうして?」
『何かあると思うから』
「何か……?」
『あたしの勘だけどね?…昔、何か“約束”をしたような気がするの』
「やくそく……」
それ以上何も言わず2人は黙りこくってしまった。
すると、あたしの背後にあったドアが開かれた。
「うわ!?」
『あ。』
開けた人は、今話題にしていた桜庭郁だった。
郁を見た途端、2人はあたしから離れ言った。
「うちのリーダー襲ったら、絶対殺す。」
「リーダー怒らすなよ。」
結構マジなトーンで言い、ドアをぴしゃりと閉め出て行った。
「………。」
『あー、なんか悪いね?気にしなくていいよ』
「あ、ああ…」
あたしはフードを取り、窓際にある椅子に座った。