赤い狼と黒い兎
それに反応が少し遅れ、横腹をナイフが掠った。
「い…ッて」
「ガキがナメてんじゃねぇぞ。…次は心臓だ」
…こいつ、ぜってー頭イカれてやがる…
意外に横腹の出血が酷く、目が霞んできた。
くそ…掠ったなんてもんじゃねぇな、これ…
「おい、どうした?さっきの威勢はどーしたッ!!」
ギャハハハッ!と下品に笑う男。
…俺、ここで死ぬのか…?
「おっ、俺はどうなっても知らねぇからな!」
そう言ってもう1人の男は逃げて行った。
おい…お前仲間じゃねーのかよ…
つうか、逃げる前に俺を助けろよッ!
…って、今まで誰彼構わず殴ってケンカしてた俺が悪ぃか。
これが天罰っつーやつかねぇ…?
「おー、ガキどうしたよ!急に怖くなったか?小便でも漏らしたかッ!」
あー、なんか今のすげぇムカついた。
横腹を押さえて、男を睨んだ。
「おいオッサン…ナイフはもっと度胸ある人間が持つモンだぜ…?」
ニヤリと不敵に笑って、そう言った。
男は無表情になり、こめかみに青筋を立てた。
「気に食わねぇなぁ…おめぇのその目……」
「あぁ…?…俺の目は他の奴よりちょっと特徴的でよぉ?」