赤い狼と黒い兎
あたしが前いた、チームの名前。
…今はもう、抜けたけどね。
でも、あいつらは絶対あたしを遠くにやらないようにした。
理由は…、本当に消えちゃいそうだから、だって。
ふざけた理由だけど、それも立派な理由だから…。
それに、目の前で泣かれちゃあ何も言えない。…涙はあたしが大嫌いなものだから、それを出されるともう何も言えなくなる。
『………』
「あいつらも、馨が居たら喜ぶと思うよ?」
『……、』
「だから、一緒に行こうよ、馨」
あたしはそれに逆らえなく、首を縦に振ってしまった―――…
「っしゃ!」
「本当に?」
『……亜稀羅が、言うなら、…行く。』
亜稀羅は満足気に笑い、よしよしと頭を撫でた。
…これじゃ、
どっちが上だか、わかんねーな…。
「そうと決まったら準備だ、馨!」
『……は?』
「実はね、今日からなんだよ。馨が行くの」
『…もし、あたしがOKって言わなかったらどーすんの?』
「それはねぇよ」
自信満々に言う兄貴に、あたしは首を傾げた。
「亜稀羅が言えば、お前は従うからな。…有無を言わさずに連れて行くよ」
『……、くたばれクソ兄貴』
「何で!?」
「はぁ…。バカ兄貴」
「亜稀羅まで!?」
兄ちゃん悲しいぞ…、なんて体操座りをして床にのの字を書くクソ兄貴。