赤い狼と黒い兎
女じゃない、と言おうと勢いよく起き上がった。
「い゙っ!!」
「バカかてめぇ。起き上がんじゃねーよ」
肩を押され、また横になる。
…やべぇ、体ん中の血液が無くなってくような感じがする……。
「あ〜あ…このバカタレが。せっかく止まってた血ぃ、また出てきたじゃねぇか」
「………」
「何だよ、死んだか?」
おどけたようにそう聞いてくるそいつに、俺は朦朧とする意識の中聞いた。
「お前…名前は?」
「俺?…この辺じゃ“黒狼”って呼ばれてる」
「黒狼……!?」
お前、それ…WolfMoon歴代最強って呼ばれてる奴じゃねぇか…!
「ま、まじかよ……」
「あ〜、ダメだ。止まんねぇ…。おめぇもう喋んな」
「……」
せっかくあの“黒狼”と会えたのに、喋んなってか?
聞きてぇことたくさんあんのにか?
「…てめぇ、俺が助けてやってんだ。死んだらぜってぇ許さねぇぞ…」
「ははッ…。なんだそれ…」
「…俺が人助けしたなんてメンバーに知れてみろ。アイツらぜってぇからかうに決まってる」
「まず…俺が助かるかどうかだな…?」
「……生きなかったらぶっ殺す」
「物騒な奴…。つうか生きなかったらって、死んでね…?」
「じゃあもう喋んな」