赤い狼と黒い兎


「まぁまぁ…。で、何で?」



春架が麻友美と琉樹を宥め、再びそう聞いてきた。

…双子も、それは気になるみたいだ。



『何でって……』

「ん?」

『理由とか無いけど』

「…ん?」

「は?」

「理由も無しに我がアジトへ!?」

「うわ〜、馨チャンがそんな事する子だったなんて…」



なんて嘘泣きする磨子。

おまえ、誰だ。



『……じゃあ、逆に聞く。絶対理由が必死なのか?』

「「もち!」」

『何故?』

「アジト!」

「うちらの!」

「「だからダメ!」」



2人揃って、胸の前でバツを作る。



『……』

「あっ、馨チャンは別だよ?」

「リーダーだもん!」



かわいらしい笑顔で言われても、あたしはもうmoonのリーダーじゃない。



『…違うだろ。“今の”リーダーは春架だ』

「……ハルチャン、あんまり役立たない」

「リーダー質、ない」

「失敬な!真面目にやってるわ!!」



ぼかっと頭を叩かれ、抗議する双子。



『…あたしが春架に任せた。それにお前らは文句ないって言った。…よなぁ?深子』

「………」



鋭く深子を睨み言うと、小さく頷いた。



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