赤い狼と黒い兎
そういうシステムだ。
馨が総長の時も、そうだった。
こういう時は慌てずに落ち着けって、情報は必ず来るからって言われてたっけ…。
「あ〜あ…尾行でもすりゃ良かったかな?」
「お前じゃ麻友美に着いて行くのは無理だよ」
カラカラと人を小馬鹿にして笑う琉樹。
悔しいけど、確かに麻友美の運転技術には敵わない。
無茶苦茶な運転だけど、才能はある。
だからアイツはケツ持ちになった。
「眠いし寝るかな…」
「ああ、そうしてくれ。」
口元を緩ませてカタカタとパソコンを弄る琉樹。
真っ黒のそれは馨の仕事用のパソコン。
真ん中にはでかでかとドクロと紫色の蝶々のシールが貼られている。
なんとも馨らしいパソコン。
(あ〜あ、早く月曜日なんねぇかな…)
したらちょっとは、面白くなるのに。
――そう呑気に思っていた自分が、浅はかだった――
−moon side end−