赤い狼と黒い兎
重なる襲撃
「馨!」
公園の入り口で、バイクに背を預けていたあたしにそう声が掛かった。
桜色のバイクに乗った麻友美が、血相変えて走り寄って来た。
『…よく捕まんなかったな』
「この私がサツごときに捕まるワケないでしょ」
胸を張って威張る麻友美に「そうか」とだけ言った。
「…深子たちは?」
『病院』
「そっか。…そうだよね」
『大丈夫。命が危ないってワケじゃないから』
「うん…良かった」
ほっと、安堵をつく麻友美から視線を逸らし公園を見た。
地面には、無数の血痕。
『…ここは、夜になると真っ暗で人通りもない。』
「……うん」
『たぶん、相手側が3人を呼び出したんだろう』
「……っ」
眉間にシワを寄せ、唇を噛み締める麻友美。
3人、というのは深子と磨子の双子コンビと朱雀の向日葵。
ここの公園は、よくあたしが通る道。
公園のど真ん中と言っても過言じゃない場所に、3人はかなりのケガを負って倒れていた。
「…馨は何で?まだ1週間経ってないよ?」
『腹減ったからコンビニ行こうとしたらこの様さ』
ふっと鼻で笑い、
目を細めた。
『気付いてるか?』