赤い狼と黒い兎
「?」
ちらりと目線だけ麻友美にやれば、不思議そうな顔していた。
『最近、下の奴等が誰かに襲われてる』
「!?…何…それ…知らないよ、そんなの…」
震えた声でそう言う麻友美の頭をポンポンと撫でた。
『手段は様々だ。…暴行したり、レイプしたり…その他諸々』
「…そ…んな……っ」
実際、こいつも昔複数の男にレイプにあった。
だから、男に触られるのを嫌う。
『今は男に守らせるように指示はしてある。女も、極力外出は避けるよう言った』
「そ…か…」
…ただ、主犯が誰なのかまだ掴めていない。
ただの仮定だけで決めるのは少し自殺行為だ。
何か、これだと確信を決めるようなそんな証拠がないと手も足もでない。
『学校には行く。けど教室には行かない』
「…わかった」
『何かあったら電話しろ。この事はあたしから春架に言っとく』
「うん…」
『じゃ、今日はもう帰んな』
「ん、気を付けてね馨…」
あたしはふっと鼻で笑い、大丈夫だと言った。
ブォォォン…
『……さて、と』
フードを深く被り直し、家路についた。