赤い狼と黒い兎
瑚雨ちゃんは、ただの被害者。
…あたしのせいか。
すると、あたしのケータイのバイブが鳴った。
ケータイを手に取り、ディスプレイを見て眉間にシワが寄った。
……知らない番号、てゆーかタイミングが良すぎだろ…。
怪しさ満載じゃねーか。
そう思いながらも出た。
『……もしもし』
《もっしも〜し、ニヒャヒャヒャ!!》
…相変わらず、キモい笑い方しやがるな。
『…やっぱ、おめぇか』
《元気してたぁ〜?黒狼サン♪》
チッ…うざってぇしゃべり方…、相変わらずだな…。
『……』
《あっ、そりゃ元気だわなぁ〜!“みんな”に囲まれてるもんなぁ〜?ハハハハッ!!》
うぜぇ…今すぐブチりてぇ……。
琉樹と朔弥は何事かと思い、あたしを見ている。
だが、あたしの視線は窓の外。
『…おめぇ、いつムショ出た』
《ハァ〜?はは、何?お祝いでもしてくれんのぉ?オニーサン嬉しいなぁ♪ギャッハハハ》
『……答えろ』
《…ん〜、昔みたいに名前呼んでくれたらいいぜー?馨ちゃーん》
語尾にハートマークが付きそうな勢いで言う。
……ムッカツク、キモい、うざい。
『あー、名前ねぇ……』
《そーそー名前!》
『忘れたわぁ〜』