赤い狼と黒い兎
そう言えば、空気が凍った。
《……でっけぇ口叩くようになったなァ、馨サンよぉ。ア?》
…相変わらず、昔の殺気は健在、ね。
『褒め言葉だなぁ』
《…まぁいい。本題はそれじゃねぇからな》
ククク、と喉で笑いさっきのようにおちゃらけた感じで言った。
《どうだ〜?犯人は見付かりましたかな〜〜?頭のイイ馨チャンでも難しいかな?》
『――バカだな、お前』
《……あ゙?》
あたしはニヤリと不敵に笑い、言った。
『元々犯人なんて絞り込めてんだよ。…おめぇ、自分で墓穴掘ったな』
《……》
『ムショ出ても、バカは健在なんだなァ…嶽ーガクーさんよォ?』
久しぶりに呼んだ名前は、嫌みっぽく言った。
《…へへ、覚えてたんだなオレの名》
『……おめぇ、まだ懲りてねぇのか』
《メール見たか?すっげーだろ?ベストショットだぜ!キャッハハハハッ!》
『!、このアバズレ…!!』
《おおっと、あんまでっけぇ口叩くな?》
ガンッと蹴った椅子は窓ガラスを割り、外へと落ちて行った。
《朱雀もそうだが、お前の大事なmoonのメンバーに傷が付くぜぇ…?》
『てめぇ…何が目的だ』
《目的だぁ?…んなもん決まってンだろ!お前の顔を、もう一度絶望に染め上げるのさ…!!》
悪趣味な…。
ガラスの破片を握り、なんとか理性を抑えさせる。