赤い狼と黒い兎
『黙れッ!!!!』
割れた窓ガラスをジャリジャリと踏み、窓から左腕を出した。
『…てめぇみたいなクソに俺らを語るな。言ったろ、昔。
――お前がムショから出た暁には、俺がお前を一番最初に殺す。
…ってな』
《……その判断が、吉と出るか凶と出るか…。楽しみだなァ、馨…》
『地獄を這いずり回って死ね。アイツにしたように、お前も同じ苦しいを与えてやるよ』
《クッハハハハ!いいぜぇ…。会える日を楽しみに待ってるよ馨…》
ブチッと通話は切られ、耳元からは無機質な機械音が流れる。
「か…馨…?」
「馨…今の……っ」
moonのメンバーにとったら、トラウマでしかない嶽の存在。
…どうして、アイツが生きてるんだろう。
瑠衣は、もう、帰って、来ないのに…。
このイライラは、どこにやろうか。
そう思った時、左手が目に入った。
左腕を振り上げ、破片がついている窓枠に思い切り腕を叩き付けた。
ガンッ…
「なっ!馨!?」
「馨!!!」
そのまま腕を後ろに引き、破片を抜けば血が流れる。
……縫うだけで済むか?これ…。
まぁいいか。
「何やってんだよ…!」
唯兎があたしの左腕を持って、タオルで押さえた。
……どっからタオル持って来たんだ?