赤い狼と黒い兎
え、えぇ〜…。
すっごい目がキラキラしてるんだけど…。
「初めまして!保健医やってる飯沼智子です。よろしくね」
『…あ、どうも。有栖川馨、です…』
「馨ちゃんね。可愛い〜…。ん?有栖川?」
『??』
智子さん、は人差し指を顎にやり悩むポーズを取った。
「有栖川、ってどっかで……」
「…瑠宇さんだよ」
「ああ!そうだ!」
『?…兄貴を知ってるんですか?』
そう聞くと、智子さんはニッコリ微笑んだ。
「私の教え子だったの」
『……え?』
「瑠宇さん、ここの卒業生なんだよ」
…えぇ〜…、知らなかった…。ってことは、瑠衣も一緒だったのか…。
「懐かしいわねぇ。昔っからやんちゃでねぇ!瑠衣とよく呼び出されてたわよ〜?」
クスクスと懐かしそうに笑う智子さんに、あたしも笑った。
『あたしも、兄貴の学生時代見たかったです』
「あら、見たことないの?イケメンよ〜?」
「飯沼ちゃん、そんなことより手当てして!」
「何よ〜」なんて言いながら、左腕に巻いていたタオルをとった。
「……馨ちゃん?」
『はい』
「貴女、何したの…?」
顔を歪めてそう言った智子さんに平然と答えた。