初恋
「もう…外真っ暗…。」
美夏は不安そうな顔をしてた。
「もう時間だな。」
「あっ、今日はありがとうございました。」
「なんも」
俺は下を向きながら答える美香を
のぞきこんで言った。
そしたら美夏は、もっと下を向いて
そのまま玄関にむかった。
なんかわかんねーけど、
まだ帰らないでっていって
ぎゅっってしたくなるような
そんな気持ちになった。
毎日里奈のいない生活で悩んでた自分も美夏といるときは
前の俺に戻れた気がした。
「じゃあお邪魔しました。」
玄関を出て行く前に俺は美香の腕をつかんだ。
「暗いの・・・こわいんだろ?」
「え…?」
驚いた顔で俺をみつめる美夏。
「さっき不安そうな顔したのも外見て不安そうにしたのも…暗いのが怖いからなんだろ?」
また美夏は驚いた顔をして
「はぃ。」
と呟いた。