空からの届けもの

 奴隷族は違う。


 仕事内容こそ同じだが、戦法を学ぶことはできない。


 お金があれば別だが、この国の身分は一家の大黒柱の職業で決まる。よってほぼ皆無。


 これからテトラのする『訓練』は、言い変えると『練習相手』。


 一般市民の見習いの、『訓練の道具』という名の剣奴なのだ。


 そのほかに、剣闘士として貴族達の血生臭い『玩具』でもある。





 まあそれはおいて、すぐに出発の時間となった。


「テトラー、行くぞー」


 そう声を掛けるエフも、剣奴を副業とする。


 これから2人は国運営の格技場へ向かうのだ。


「あーあ、また平民どもに罵倒されるんかな。全く、誰のお陰で訓練できると思ってるんだか。
俺らとは比べ物にならないくらい弱いくせに」


 エフの脱力したような愚痴に、テトラは意外そうな顔をする。


「だから僕らは剣奴になれたんじゃないですか。……僕はギリギリだけど。
それに向こうが怒るのは、僕らが悪いからで」





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