空からの届けもの

 が、当然のごとく、その場にいるのはテトラだけ。


「あれ……」


 ふと、彼の目線が定まる。


「?何見てるの?」

「まさか……君なの?」

「え、その蜘蛛?バッカだな~。蜘蛛は人間の言葉なんて話さないよ~」


 そんなこと、言われなくても分かってる。でも、ほかにいないじゃないか。


 テトラはその本心を隠して、目を閉じる。


「今度は何をしてるんだい?……おーい、もしかして、怒った?」


 よし、分かったぞ。次はもう絶対バカになんてさせないからな。


 テトラはその本心を露に、剣を見る。


「君、誰?どこに口があるの?」


「え、そう行く?まあ、よく分かったね」


 目の前の古い剣は、にっこりと笑う。……多分だが。微笑んだかもしれないが。


 そしてその剣は続けるのだった。




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