空からの届けもの

 聞き慣れた、でもちょっと聞きたくない声。


 剣は黙り、テトラはゆっくりそちらを見る。


 入口にはカーテンのように布がかかっているので、姿こそ見えないが。


「お、親方……。まだ起きてたんですか?」


「テトラの声が聞こえてねー」


 彼の部屋はここの真上。頑丈な石造りとはいえ、聞こえるものは聞こえるらしい。


「明日も寝坊したら、そうだな~」


「ね、寝ます!今すぐ寝ますから!!」


「遅くまで蝋燭を使うなって言ってるのにね~」


「け、消しました!おやすみなさい!!」


「今日の蝋燭の代金分、明日キッチリ働いてね~」


 やっと沈黙になり、やっと部屋に戻ったと悟る。


 テトラが思わず溜め息を吐くと。


「親方さん、怖いね~」


 という呑気な声。


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