水に映る月
「ねぇ、ケイちゃん。この枕の境界線、邪魔ァ!」
「なんで?必需品やろ。」
「だって、あたし、ケイちゃんとくっついて寝たいもん。」
思い切って、甘えてみたけど
「純ちゃん、寝相悪いからな。枕でガードしてるねん♪」
笑って誤魔化されただけで‥。
こんなにも近くにいるのに、届かない想い。
彼にとって、あたしは居候でしかなくて‥。
─ 切ないよ‥
ケイちゃん‥
背中を向けて眠る彼の姿が、潤んで来る涙で滲んだ。
溢れた涙がポロポロと、肌を伝ってシーツを濡らした。