水に映る月
 

慧には、毎日のように、お薬を塗って貰っていたけど、下着姿のあたしに、彼は何にも反応してくれない。


“そそりたい”

そんな悪戯なキモチになってしまうことは、イケナイのかもしれない。


だけど、バスタオル一枚のあたしがバスルームから出て来ても、彼は、知らん顔でテレビを見てる。


上着を脱ぐだけで欲情しちゃうような、今までの男の子達とは違う。



── 今の距離を縮めることが出来なくても、せめて、保っていたい‥ ──



そう決めていたけど、順応しないココロは、時々、切なく鳴いた。


 
< 114 / 370 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop