水に映る月
慧には、毎日のように、お薬を塗って貰っていたけど、下着姿のあたしに、彼は何にも反応してくれない。
“そそりたい”
そんな悪戯なキモチになってしまうことは、イケナイのかもしれない。
だけど、バスタオル一枚のあたしがバスルームから出て来ても、彼は、知らん顔でテレビを見てる。
上着を脱ぐだけで欲情しちゃうような、今までの男の子達とは違う。
── 今の距離を縮めることが出来なくても、せめて、保っていたい‥ ──
そう決めていたけど、順応しないココロは、時々、切なく鳴いた。