水に映る月
忘れ物は無いかと、バッグの中身をチェックしている時だった。
── ピンポーン♪
不意に、インターホンのチャイムが鳴った。
あたしがこの部屋に住むようになって以来、宅配ピザ以外の訪問者はいない。
─ 誰かな?
熟睡している慧を起こすのも気が退けて、インターホンの受話器を取った。
「はい。」
モニターには、知らない男の人が映っている。
その男の人は
「あれ?間違えたんか?」
と、呟くと
「ケイの部屋ちゃう?」
と、訊いた。