水に映る月
「ケイちゃん、寝てます。」
「じゃ、起こしてや。高原やってゆーてくれたら起きるわ。」
「はい。」
エラそうな話し方をする人だなって思った。
─ 先輩なのかな‥?
「ケイちゃん、起きて。高原って人が来てるよ。」
訪問者に言われた通り、あたしは慧を揺り起こした。
「ん‥、なに?」
「高原って人、来てる。」
「シンさんや‥。何しに来たんやろ‥。」
慧は、大きなアクビをして起き上がり、億劫そうにベッドを降りた。
そして、壁に掛かったインターホンの受話器を取って、応対を始めた。
「久しぶりっすね。どしたんっすか?」