水に映る月
瞬間、ドキンと心臓が跳ねた。
きっと、慧が、あたしの名前を呼び捨てにしたからだと思う。
「はい‥。」
あたしは小さな声で返事をした。
眠気は覚めていたけど、酔いも一気に醒めた気分だった。
慧は、浅く溜め息を吐いて
「純ちゃん。どこかに泊まる時は連絡するって約束やったよな。違う?」
って、優しい声で訊いた。
途端、胸がキューッと締め付けられるみたいになった。
慧が心配しているんだと感じて‥、
「ゴメンナサイ‥。」
その言葉を口にした途端、涙が溢れて来た。