水に映る月
─ 急用?
おデートしてたくせに‥
迎えに来てくれて嬉しいはずなのに、嫉妬心が沸々と湧き上がる。
「スネてない。遊びたくなっただけ‥。」
慧は、彼が清香と会っていたことを、あたしが気付いていないと思ってるみたいで‥。
あたしも知らん振りを通した。
「純ちゃん、酒は嫌いゆーてたよな?」
「うん。」
三ノ宮で慧達にナンパされた時、ショットでもカラオケでも、あたしはソフトドリンクだった。
─ お酒は嫌い。未成年だし、飲みたくない ─
仁くんに勧められても、そう言って断った。
慧の部屋に住むようになってからも、一滴だって飲んでいない。
「じゃ、なんで、今日は飲んだん?」
慧は、また問い掛けた。