水に映る月
 

黙っていようと思ったのに‥。

繰り返し質問されて、哀しみが込み上げて来た。


「ケイちゃんが清香と遊んだからヤケてたん!ねぇ、いつから連絡取ってたん?いつの間に、清香にアドとか訊いたん?!」


我慢出来なくなって、あたしは彼に切なさをぶつけていた。


慧は答えずに車の速度を緩め、左折すると、コンビニの駐車場に停めた。


「なんか飲む?」


普段と変わらない調子で、彼が訊いた。


「いい。」


あたしは、首を横に振った。


「じゃ、待ってて。」



─ なんで、答えてくれないの?



車を降りてコンビニの中に入って行く彼を、あたしは、哀しいキモチで見ていた。


 
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