水に映る月
フウカさんは、23歳。
出身は関東なのか、関西弁じゃない。
混み合った二階席に空いているテーブルを見つけ、あたし達は、そこに座った。
「泉水(イズミ)さんってさぁ、純って名前だよね?フウカも“純ちゃん”って呼んでイイ?」
ストローを紙コップに差して、フウカさんは訊いた。
「はい、イイですよ♪」
フライドポテトに手を伸ばして、あたしは答えた。
バイト先は、これまで、あたし以外の従業員は、みんな男性だった。
接客以外で、年上の女性と話す機会は少ない。
あたしは、ちょっぴり緊張していた。