水に映る月

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帰りの電車の中で、あたしは憂鬱だった。


アルコールの匂いをプンプンさせたサラリーマンが居眠りして、あたしの肩に傾いて来る。


あたしは席を立ち、ドアの側に立った。


窓の外を流れる夜の景色が、瞳に寂しく映っている。

フウカさんの話を思い返して、涙が零れそうだった。



慧が悪い人だなんて‥


犯罪を犯すような人だなんて‥


そんなこと、信じたくない‥


信じられないよ‥


 
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