水に映る月
 
───‥
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写メを見た途端、フウカさんの顔から笑顔が消えた。


「この人さぁ、結城 慧?」


そう訊いた。


咄嗟に首を横に振ったのは、イヤな予感がしたから‥。


「だよねぇ、他人の空似かなぁ。でも、よく似てる~。」


「そぉなんですか?」


「うん。友達の元カレなんだけどぉ、超サイテーなヤツ!フウカも騙されるとこだったんだよね~。てか、もぉ警察にパクられてんじゃないかなぁ。」


心拍数が一気に上がった。


それ以上、何かを聞けば、とても平常心ではいられない気がして‥。

あたしは、DVDを返却したいから帰ると彼女に嘘をつき、席を立った。


‥───
 ‥────


電車が駅に停車して、扉が開いた。

あたしは憂鬱なキモチのまま、ホームに降りた。


 
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