水に映る月
∮06 許せない
バッグの内ポケットに入れたままの鍵を、手探りで取り出した。
玄関ドアを開け、真っ暗な部屋の中に入る。
電気は止まっていなかった。
壁のスイッチを押すと、キッチンの明かりが灯った。
きっと、叔母が支払いをしているんだ。
実家は、2DKのアパート。
やっぱり、叔母が片付けたんだろう、キッチンも部屋も、綺麗に整理されていた。
湿っぽい空気が肌にまとわり付くのが嫌。
あたしは、窓を網戸にして換気扇を回した。