水に映る月
狭いキッチンの隣には、バスルームと呼ぶに相応しくない古びた浴室。
そして、やはり古びた洗面所があり、その横にはトイレがある。
部屋は、六畳と四畳半。
あたしは襖を開けて、四畳半の部屋を覗いた。
キッチンの明かりが漏れた薄暗い部屋を眺めてみる。
学習机代わりにしていた小さめの木製テーブルも、丸いパイプ椅子も‥。
それから、ベッドもフリーボックスに並んだヌイグルミも漫画も、全部、そのまま。
一人になりたい‥。
そう思って帰って来たけど、この場所では落ち着かない。
あたしは襖を閉め、キッチンへと向き直り、換気扇を止めて開けていた窓を閉めた。
そして、明かりを消して、また、外に出た。